くまお、グラナダに行く の巻 その1
くまおです。皆さんお元気ですか?
またまた更新がとんでもなく空いてしまいました。くまおは日本の大学院も無事卒業し、現在はピアノを教える仕事に就いています。
コロナ禍で、生活は完全に変わりました。
1年前、留学している間は自由に旅行が出来ていたことを思うととてもやるせない気持ちです。今年に入り、コロナがイタリアやスペインを中心にヨーロッパ全土へ感染拡大していくニュースを見ると、心が痛みました。
旅行した先々で出会った素晴らしい人々が、今も無事で暮らせているのか、つい考えてしまいます。
今回から数回に分けて、昨年のちょうど今頃、スペインのグラナダとバルセロナを訪れたときのことを書きます。
もうしばらくは旅行することは叶わないかもしれませんが、書きながら思い出を懐かしんだり、景色に思い馳せたりしたいなと思います。
ベローナからドイツのマンハイムへ帰り、すぐスペインに向かいました。ベローナから周遊することも考えたのですが、ちょうどマンハイムで伴奏の仕事があり、そのためにとんぼ返りするハメに。
今回の目的はスペイン・グラナダで開かれたコンクールに出ること、そして一度は行きたかったバルセロナに寄ること!でした。
2019年7月10日、フランクフルト空港からグラナダ空港に向かいました。機内で隣になったスペイン人お姉さんが話しかけてくださり、なんとスペイン語の挨拶講座をしてくれました。私が童顔だから心配になったのか、メモを書いて渡してくれました笑。
お姉さんはなんでもペットの犬がフランクフルト空港で検疫に引っかかってしまい、迎えに来たそう。
グラナダ空港はとても小さい地方空港でした。観光地だと思っていたのですが、意外なほどこじんまりしたところでした。
空港からはバスで市街地まで移動。グラナダ大聖堂があるエリアが中心街で、お店も多く集まっています。
そこのスーパーで食料を買い足し(お金をケチった結果ホテルは素泊まりで、連日クラッカーとマフィンで空腹を紛らわした)、コンクール会場兼ホテルまでさらにバスで移動しました。
バスもものすごい急勾配&細い道でかなり怖かったです。私は車の免許は持っていませんが、絶対運転したくないです。
にもかかわらず、たぶんこの辺りに住んでる人は車は必需品だろうな。スーパーないし。景色はいいけれど不便でした。
バスを使わずに徒歩で市街地に出ることもできます(30分くらいの山歩きです)
。
ベローナへはサンダルで行ってすごく後悔したので、今回は満を辞してスニーカーで行きました。
コンクールの合間にアルハンブラ宮殿を観光しました(チケットは要予約です)。
アルハンブラ宮殿は、今まで訪れたヨーロッパの宮殿のどれとも違った雰囲気を持っていました。イスラム教徒がグラナダ王国(ナスル朝)を建国し、栄華を極め、キリスト教徒との戦いに敗れ陥落する……グラナダの重い歴史を感じます。
高度なアラブ建築に加え、のちのキリスト教徒たちの増築により、さまざまな様式の建物が混在しています。
(と、日本から来た団体ツアー客のガイドさんが言っていました。盗み聞き。)
アルハンブラ宮殿は大きく分けて3つのエリアに分かれています。
○ヘネラリフェ
チケット売り場のある入り口から入って右側のエリアです。14世期のナスル朝の夏の離宮として建てられました。
チノス坂を登り、太陽の丘と呼ばれる高台にあります(もう汗だく)。
離宮に入ると、水路や噴水、美しい庭園があり、木々の間を抜けていきます。イスラム建築での特徴のひとつが、水の扱い方なんだとか。
しばらく進むと、アセキアのパティオがあります。アセキオとは水路の意。庭園の中心には噴水が連なっていました。
建物の中は細かなイスラムの模様(?)の彫刻があります。
続いてスルタナのパティオ。スルタナは王妃の意。王妃と騎士が、王の目を盗んで逢瀬を重ねていたとかいないとか……。
薔薇が美しい庭園でした。
更にここから水の階段と呼ばれる階段を登ると展望台に出るそうなのですが、私が行った時はたまたま閉まっていたような…?(見落としていたかも…)
ここらへんでヘネラリフェを後にし、次のエリアへ向かいました。
○ナスル宮殿
緑の生垣の道を通り、ナスル宮殿エリアに向かいました。こちらは本当に人が多かった!(この写真には全然いなかったので伝わらない!)
まず、メスアールの間・パティオに向かいました。イスラムらしいタイルや装飾が美しい空間です。窓から見える絶景もよかったです。
人が多くてうまく写真が撮れませんでしたが、昔は金箔が貼られていたという黄金の間もあります。
コマレス宮/アラヤネスのパティオは王が権力を誇示するために作らせたところ。贅沢に水を使うことが、その国の豊かさを示していたそうです。
観光した日は35℃ほどの暑い日だったのですが、水があると涼やかな気持ちになります。
続いて船の間と呼ばれるところ。船底の形をしていることが由来の場所。目が疲れてくるほどの細かさ…!
アルハンブラ宮殿といえば、ライオン宮の写真がよく使われています。獅子のパティオではかわいいライオンの噴水が…!
ここは王と王妃の居住空間だったらしい。
隣接するアベンセラヘスの間とニ姉妹の間の天井。ここも圧巻でした。
ナスル宮殿の周りはベンチや観光案内所、売店もありひと休みすることができました。生垣にはねこちゃんがたくさん住みついているようで、しばらく追いかけました(20歳半ばのやることではない)。
○アルカサバ
ナスル朝が、古い要塞の上に築いた要塞です。アルハンブラ宮殿の最も古くからあるエリアですが、19世紀前半にナポレオンにより破壊されたため、現在は復元されたものだそうです。
展望台が多いのでひたすら登り、景色を楽しみました。が、北東側の山で煙が上がっており(たぶん小さい山火事)、ヘリコプターが忙しなく消化剤を運んでいました。
階段を登ると、アルマス広場に出ました。かつては軍隊の建物があったところ。現在は基礎のみ残されています。
アルハンブラ宮殿で最も高いベラの塔。閉園時間ギリギリに到着しました(最初からここまで3〜4時間くらい。でも全然見足りません)。
ちょうど夕暮れの時間帯。ドビュッシーの作品に「グラナダ の夕暮れ」というタイトルの曲があり、まさにその景色を目の当たりにしている感動がありました。
つづく